日本ペインクリニック学会誌
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症例
胆道ジスキネジアによる難治性腹部内臓痛に対して脊髄刺激療法が有効であった1症例
湊 文昭林 千晴萩原 信太郎林 摩耶上島 賢哉安部 洋一郎
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2021 年 28 巻 11 号 p. 235-238

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抄録

脊髄刺激療法(spinal cord stimulation:SCS)の慢性腹部内臓痛に対する効果は,いまだエビデンスが十分でない.今回われわれは,胆道ジスキネジアによる難治性腹部内臓痛に対してSCSを導入し,疼痛が軽減した症例を経験したので報告する.患者は44歳,女性.右上腹部痛,numerical rating scale(NRS)7.18年前に胆嚢摘出術後に胆道ジスキネジアを発症した.他院で腹腔神経叢ブロックを8回施行したが,次第に効果が減弱し,X年当科を受診した.高周波パルス法による腹腔神経叢ブロックを2回施行するも効果が一時的であったため,SCSを導入した.16極リードを1本使用し,リード先端はTh5上縁に留置した.刺激モードはトニックや1,000 Hzの高頻度刺激を用い,13日間試験刺激を行った.疼痛の軽減とともにオピオイドの使用量も減少した.胆道ジスキネジアなどの内臓神経由来の疼痛はおもに交感神経系が関与している.SCSはその過剰活動性を減弱させる作用があると考えられ,腹部内臓痛に対する治療手段となることが期待される.

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© 2021 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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