2021 年 28 巻 11 号 p. 214-217
症例は51歳男性.10年前に左下顎の疼痛を自覚し,当院耳鼻咽喉科にて三叉神経痛の診断のもと,内服加療で改善し,その後は無治療経過観察となっていた.10年経過後に同症状を再発症し,精査の結果,左前下小脳動脈が責任血管の舌咽神経痛の診断となる.内服加療では疼痛軽減が得られず,薬剤抵抗性のため当科紹介となり,左外側後頭下開頭で微小血管減圧術を施行した.左前下小脳動脈を錐体骨に固定し,舌咽神経痛との接触を解除した.術後合併症は認めず,左下顎痛は速やかに消失した.術後半年間明らかな再発なく経過している.