2023 年 30 巻 5 号 p. 103-106
パルス高周波法(pulsed radiofrequency:PRF)は合併症が少なく,安全かつ低侵襲な慢性痛の治療法として知られている.今回,遷延性術後痛に対して傍胸骨肋間神経(parasternal intercostal nerve:PSI)–PRFが有効だった1症例を経験した.症例は45歳男性.Th2~4の胸髄腫瘍摘出術と術後髄液漏に対する閉鎖術を受けた.術後に同神経領域に沿った左背部,側胸部,前胸部の持続痛が出現した.左肋骨角部で肋間神経PRFを行い,背部,側胸部の痛みはほぼ消失した.左前胸部痛が残存したため,単回PSIブロック(超音波ガイド下,0.25%レボブピバカイン単独)を行い,数日間は痛みが軽減した.効果時間延長を期待してPSI–PRFを行ったところ,数週間の鎮痛効果が得られた.硬膜癒着剥離術を行うまでの15カ月間,痛みの程度に応じて3~5週間ごとにPSI–PRFを合計20回行った.PSI–PRFに伴う明らかな合併症は認めず,鎮痛コントロールに有用だった.