2024 年 31 巻 12 号 p. 241-244
足病変(巻き爪,胼胝,鶏眼など)は姿勢や歩容に影響を与え,慢性腰椎疾患症例では,痛みを増悪する要因になる.今回,ペインクリニックにて右母趾痛と両腰下肢痛を呈した症例の介入経験を報告した.症例は60歳代男性,職業は警備員.既往に腰椎椎間板ヘルニア(L3/4)に伴う左腰下肢痛があり,腰部硬膜外ブロックを実施していた.巻き爪による右母趾痛で初診来院した.疼痛性跛行があり,歩行時の右腰痛と右股関節周囲痛を認めた.初診時にフットケア,理学療法が開始となった.右母趾痛はNRS 6,両腰痛や右股関節周囲痛はNRS 3であった.看護師のフットケアとして,ポドストライプによる右母趾巻き爪の矯正とフットケアマシンによる左母趾爪甲鉤弯症の研磨を実施した.その後,痛みにより習慣化した疼痛性跛行の改善,骨盤アライメント修正の運動療法を実施した.初診3カ月後に右母趾痛はNRS 0,右腰痛はNRS 0~1で歩容の改善が認められた.足部病変のある慢性腰椎疾患症例に対し,看護師のフットケアと理学療法士の運動療法の併用で良好に痛み管理が遂行できた.