2024 年 31 巻 12 号 p. 237-240
症例は12歳男児,身長147 cm,体重36 kg.初診3カ月前に頭痛が出現し,近医小児科で片頭痛と診断された.頭痛が増悪し,イブプロフェン400 mg,ナラトリプタン2.5 mgの内服後もnumerical rating scale(NRS)8~10の頭痛,嘔吐が持続し当科紹介受診となった.呉茱萸湯エキス顆粒5.0 g分2を開始,初診7日後,ナラトリプタン10回/月以上の内服を認めナラトリプタンのみ中止した.NRS 5~8の頭痛が持続し,イブプロフェンを連日内服していた.初診14日後,経鼻的局所麻酔薬浸潤による翼口蓋神経節ブロック施行でNRS 3に軽減した.アミトリプチリン10 mgの内服を開始し,2~4週ごとの翼口蓋神経節ブロック施行,発作時のイブプロフェン内服で,学校生活に制限なく過ごせるようになった.初診6カ月後,アミトリプチリンを中止し,症状の増悪なく経過している.経鼻的局所麻酔薬浸潤による翼口蓋神経節ブロックは低侵襲であり,有用と考えられる.