論文ID: 18-0013
腰痛,下肢痛に対する神経ブロックはさまざまあるが,大腰筋筋溝ブロックは,重篤な合併症として後腹膜血腫や腎・内臓損傷などがある.今回,大腰筋筋溝ブロック施行患者における大腰筋の解剖学的位置を調査した.研究方法は,後ろ向き観察研究で,当院で大腰筋筋溝ブロック施行した患者を対象に主要評価項目として第4腰椎(L4)レベルで,①棘突起正中から外側40 mmの体表から大腰筋膜の垂直距離(深さ),②棘突起正中から大腰筋外縁までの距離を核磁気共鳴画像法(magnetic resonance imaging:MRI)を用いて測定した.副次評価項目として合併症の発生率,腎臓下縁の腰椎の高さ,大腰筋の解剖学的位置と患者背景との関連性を調査した.結果として,対象患者は100名で主要評価項目①は63 mm,②は男性63 mm,女性53 mmであった.合併症はなく,腎臓下縁は左右ともにL3下縁より頭側が多かった.また,体重が大きいほど大腰筋は深く,女性よりも男性で大腰筋が正中より外側に位置する可能性が示唆された.