論文ID: 19-0020
自己導尿時の会陰部痛に対して,高比重テトラカイン溶液によるくも膜下サドルブロックが奏効した症例を報告する.間質性膀胱炎と神経因性膀胱による排尿障害の患者で,自己導尿の際に強い会陰部痛を生じていた.各種鎮痛薬による内服加療や交感神経ブロック,神経根ブロックを行ったが効果が不十分であったため,20%ブドウ糖液に溶解したテトラカインを用いてくも膜下サドルブロックを行った.0.5%溶液では持続的鎮痛効果が得られなかったが,1.0%溶液を使用したところ月単位での良好な鎮痛を得た.テトラカインは粉末製剤なので,膀胱直腸障害をきたさない濃度を症例ごとに調整することが可能である.また鎮痛効果が可逆的であるため,繰り返しの施行が必要になる点が課題ではあるが,フェノールグリセリンを用いた神経破壊が適応にならない症例で,会陰部の鎮痛のための有用な手段となりうる.