日本口腔顔面痛学会雑誌
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症例報告
口腔顔面痛疾患に対する新規薬ミロガバリンベシル酸塩の使用経験
田中 玲那野間 昇小笹 佳奈岡田 明子田所 壯一朗羽鳥 啓介今村 佳樹
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2021 年 13 巻 1 号 p. 105-109

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抄録

概要:ミロガバリンベシル酸塩(タリージェ;以下ミロガバリン)は末梢性神経障害性疼痛を効能・効果として承認されたが,口腔顔面痛に対するミロガバリンの臨床経験は少ない.口腔顔面領域における外傷後有痛性三叉神経ニューロパチーに対して処方したミロガバリンの治療効果と副作用を臨床的に検討した.
方法:日本大学歯学部付属歯科病院ペインクリニック科を受診した外傷後有痛性三叉神経ニューロパチー患者9人を対象にミロガバリンを処方した.対象患者の男女比,年齢分布,病悩期間,国際頭痛分類第3版に基づいて診断,治療効果,副作用について調査を行った.治療効果については,ミロガバリン投与3か月後に疼痛の改善の有無を判定した.疼痛の程度は数値評価スケール(NRS)を用いて投与前後を評価した.
結果:ミロガバリン処方前後でNRS改善率は40.6±29.0%であった.9例中4例に副作用として傾眠3例,体重増加+浮動性めまい1例が認められた.
結論:ミロガバリンは外傷後有痛性三叉神経ニューロパチーの疼痛改善に有効であったが,副作用もあることから口腔顔面領域における末梢性神経障害性疼痛に対しては,低用量から始めるなどの用量調節をする注意が必要であると考えられた.

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© 2021 日本口腔顔面痛学会
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