日本ペインクリニック学会誌
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腕神経叢ブロックでの肩関節鏡手術におけるデキサメタゾン添加による効果の検討
佐野 禎一横山 順一郎
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論文ID: 19-0045

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抄録

【目的】斜角筋間腕神経叢ブロック(ISB)単独での,肩関節鏡手術におけるデキサメタゾン添加による効果を後ろ向きに検討した.【方法】ISB単独で関節鏡下肩腱板断裂手術を行った症例のうち,局所麻酔薬に1%メピバカイン10 mlと0.75%ロピバカイン10 mlを用いた52例を対象とした.局所麻酔薬にデキサメタゾンを添加しなかったC群(26例)とデキサメタゾン6.6 mgを添加したD群(26例)の2群に分けた.麻酔開始から導入完了までの時間(麻酔導入時間),麻酔開始後24時間以内の術後初回の鎮痛剤使用までの時間(麻酔効果時間),合併症などについて評価した.麻酔導入完了はC5,C6神経根領域の冷覚消失および運動神経遮断が得られた時点と定義した.【結果】C/D群の手術時年齢,手術時間,使用したアンカー数の中央値は68/69歳,75/78分,4/4個であり,両群間で差はなかった.BMIはD群で有意に低かった(p=0.027).C/D群の麻酔導入時間,麻酔効果時間の中央値はそれぞれ11/12分,494/746分であり,麻酔効果時間はD群で有意に長かった(p=0.001).【結論】局所麻酔薬にデキサメタゾンを添加すると麻酔効果時間が有意に延長した.局所麻酔薬としてのデキサメタゾンは術後鎮痛に有用であった.

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© 2020 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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