日本ペインクリニック学会誌
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修正型電気けいれん療法で改善した慢性腰痛患者の1症例
木村 尚平河西 稔高橋 伸二川瀬 守智波木 京子
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2003 年 10 巻 2 号 p. 168-172

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抄録
電気けいれん療法 (ECT) には, 原法 (original ECT) と修正法 (modified ECT: m-ECT) がある. 今回は慢性腰痛の患者にm-ECTを用い著効した. 症例は, 39歳, 男性. 主訴は腰痛と両下肢痛で, 36歳の時に腰痛と両下肢のしびれに対して他院において腰部椎間板ヘルニアの手術を施行されたが改善せず, 病院を転々として当院を受診した. 持続硬膜外ブロックと全脊椎麻酔でいったん改善し退院したが, 8ヵ月後に再度強い疼痛が出現したため入院となった. 血液検査, CT, MRIのいずれにも頑固な腰痛の原因となる所見を認めなかった. また心理テストでは気分障害が疑われ, 本人の強い希望もありm-ECTを3回施行した. 1回目で疼痛は激減したが3日後に疼痛が出現した. 2回目はあまり効果がなかったが, 3回目は著効を示し, 以後12ヵ月以上経った現在まで疼痛はまったく自覚されていない.
神経ブロック療法や薬物療法が無効であり, 明らかな器質的疾患を認めず, 心理テストで気分障害や疼痛性障害の疑いのある患者では, ECTを疼痛治療の一つとして考慮にいれるべきと考えられた.
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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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