抄録
左C6領域の帯状疱疹痛に対する頸部持続硬膜外ブロック中に, 複視の出現でカテーテルの硬膜下腔迷入が判明した1症例を経験した. カテーテル挿入時に1%メピバカインを計6ml注入後, 一過性の血圧低下以外に異常所見は認めなかったため, カテーテルが硬膜外腔に留置されたと判断して注入を開始した. 3日後に1%メピバカイン3ml注入後, 患者が複視を訴えた. 右眼の散瞳, 対光反射減弱, 外転運動障害を認めた. 造影検査で後頭蓋窩に沿った造影所見を認めたため, 硬膜下ブロックによる動眼神経および外転神経麻痺を疑い, ただちにカテーテルを抜去した. 約2時間後, 複視は消失し, 後遺症は認めなかった.