抄録
Neck tongue syndrome は, 頸部の回旋運動後に片側の後頭部痛と同時に同側の舌半分のしびれ感が出現する症候群として, 1980年に Lance & Anthony が初めて報告した. 本邦では1982年に野田らの初報告以来, 報告例は19例にすぎず, その治療法も確立していない. 今回の症例は30歳男性で, 左後頭部痛と舌左半分の異常感覚を主訴とし, 約1ヵ月間, 非ステロイド性抗炎症薬を中心とした薬物療法や物理療法を受けたが症状は改善せず, 星状神経節ブロック (SGB) に変更された. 10回のSGB後, 左後頭部痛と左舌尖部の異常感覚は軽減し, SGB開始後約4ヵ月で症状は消失した. SGBは本症候群の有効な一治療法になりうると考えられた.