日本ペインクリニック学会誌
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痛みの受容とヒスタミン: 抗ヒスタミン薬は鎮痛薬となりうるか?
吉田 明子加藤 正人谷内 一彦
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2004 年 11 巻 4 号 p. 387-396

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抄録

痛みの受容には多くの分子が影響を与えるが, ヒスタミンもその一つである. その作用点は, 一次性求心性神経線維と中枢ヒスタミン神経であるが, H1受容体はおもに一次性求心性神経線維上にあり, 末梢からの情報を脊髄や上位中枢へ効率よく伝達する役目を担っている. また脊髄や上位中枢にはH1受容体やH2受容体が存在して興奮性の作用を共同して担っている. とくに中枢ではH1, H2受容体ともに大脳皮質の機能賦活作用として覚醒や認知機能亢進に関与している. 最近, ヒスタミン関連遺伝子のノックアウトマウスが開発され小動物における生理学的・病態生理学的研究の新たな展開が進んでいる. 本総説では, 抗ヒスタミン薬を用いた薬物研究, 近年開発されたヒスタミン関連遺伝子ノックアウトマウス (H1, H2受容体ノックアウトマウス, ヒスタミン合成酵素ノックアウトマウス) を用いた研究, モルヒネなどのオピオイドと併用した疼痛研究の結果をもとに, 痛みの受容とヒスタミンの関与について概説する.

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