2021 年 24 巻 4 号 p. 555-561
当施設は兵庫県警察学校における訓練時の熱中症対策を行っており,2016年4月より「兵庫県警察学校熱中症対策プロジェクト」を立ち上げた。その基本構想は,医療従事者と非医療従事者(警察学校教官)との連携を強化し,訓練効果を保持したうえで熱中症発生現場における重症化阻止を実現することである。本稿においてプロジェクトの具体的内容と成績を提示し,病院前診療で労作性熱中症の重症化阻止が可能であるか検討する。結果:プロジェクト導入後,緊急入院を要する高度意識障害例の発生はゼロとなり,熱中症による救急車要請件数は2019年度から減少傾向である。結論:医療従事者と非医療従事者との連携により,労作性熱中症の現場での重症化阻止は可能と考える。