抄録
腹腔鏡下婦人科骨盤内手術後に生じた下肢痛を経験したので, その診断根拠と治療経過について報告する. 患者は49歳の女性で, 4年前に腹腔鏡補助下膣式子宮全摘術と2年前に腹腔鏡下卵巣嚢胞摘出術を順次受けた. 2回目手術の3カ月後から左大腿部後面から左足底部にかけて痛みが発現した. 臨床経過と画像診断から, 手術後の瘢痕組織が仙骨前面周辺に増生し, 腰仙神経幹を障害することによって生じた左下肢痛と推察された. この痛みは, ステロイド添加の腰部硬膜外ブロックとアミトリプチリンの内服で軽快した.