日本ペインクリニック学会誌
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Tolosa-Hunt 症候群様症状を呈した悪性リンパ腫の1例
新堀 博展堤 佐斗志倉橋 清泰武田 康二
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2007 年 14 巻 1 号 p. 23-26

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抄録
Tolosa-Hunt 症候群 (THS) 様症状と同側の上肢痛を来した悪性リンパ腫の60歳代男性症例を経験した. 主訴は, 左三叉神経第1, 2枝領域の鋭い痛み, 左眼瞼下垂, 左上肢痛であった. 頭頸部MRIで海綿静脈洞の腫瘤性病変, 頸椎と椎間板の変形を認めたため, THSと頸椎症の合併を疑い, ステロイド治療と星状神経節ブロックを行ったが改善は認められなかった. 治療中, 下位脳神経症状が出現し, 海綿静脈洞の腫瘤性病変の増大を認めたため, 開頭生検術を行ったところ, 腫瘤は悪性リンパ腫であることが判明した. 放射線療法と化学療法により症状は軽快した. 眼球運動障害, 三叉神経第1枝領域の感覚低下以外の進行する神経症状を合併するTHS様症状では, 悪性リンパ腫などの鑑別診断が必要である.
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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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