日本ペインクリニック学会誌
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星状神経節ブロックにより顔面しびれ感の増悪をきたした反対側脳腫瘍症例
西澤 伸泰田口 仁士新宮 興坂井 貴子
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キーワード: 脳腫瘍, 三叉神経障害
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1995 年 2 巻 1 号 p. 21-23

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抄録
脳腫瘍が原因で false localizing sign として三叉神経障害が起こっていた1症例を経験した. 症例は32歳女性. 右顔面 (三叉神経第II枝領域) のしびれ感を主訴に近医より当科に紹介された. 治療として右側の星状神経節ブロック (SGB) を行なったが, SGB後しびれ感は増強し効果は認められなかった. その後CT, MRIにて左後頭蓋窩に脳腫瘍が発見され, 手術により全摘された. 診断は髄膜腫であった. 脳腫瘍による対側の三叉神経障害のメカニズムとしては, 腫瘍により脳幹が対側に偏位し対側の血管により三叉神経が圧迫されたと考えられる. SGBによる脳血流増加の結果, 三叉神経への圧迫がさらに強くなったため症状が増悪したと推測される. 若年者に発症する三叉神経障害において神経ブロックが予期せぬ効果を示したときは, 痛みの有無にかかわらず脳腫瘍などの症候性の場合も考慮し, CT, MRIおよび他の脳神経症状などの検索をすべきである.
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