抄録
癌性疼痛患者4例に皮下埋め込み型薬液注入システムを用いて持続くも膜下ブロック (CSA)による治療を行った. 薬液は局所麻酔薬と微量のモルヒネを併用した. 鎮痛効果は絶大で, 坐位, 歩行不能であったものが, 治療開始数日後には可能となった. 合併症は髄液漏, ポート内感染, ポート部褥創, 歩行障害などであったが, 治療を中止することなく消失, 治癒した. 痙攣, 呼吸抑制, および脊髄・神経根障害は出現せず, 意識も清明なままで経過した.
CSAは, 予想される合併症は否定できないが, それらは適応を限定し, 厳重な管理を行うことにより解決でき, 難治性癌性疼痛の有効な治療手段となる. 皮下埋め込み型薬液注入システムを使用することにより, 管理がより容易になり適応もさらに拡大する.