日本ペインクリニック学会誌
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透視下腕神経叢ブロック法の有用性
鴫原 晃有村 聡美唐澤 秀武大野 健次長沼 芳和大瀬戸 清茂塩谷 正弘湯田 康正
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1996 年 3 巻 4 号 p. 404-408

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抄録

目的: 今回われわれは, 頸肩腕痛の患者に透視下に腕神経叢ブロック法を行ない, その有用性を検討した. 対象と方法: 頸肩腕痛を主訴に関東逓信病院を受診した患者100例を対象とした, 患者を仰臥位とし, 鎖骨上窩でブロック針を透視下に第1肋骨に進めると, 軽く肋骨に触れる程度となり, 1%メビバカイン8ml, イオヘキソール300 2ml, デキサメタゾン4mgの混合液を注入し, 造影X線撮影を行なって終了した. 結果: 神経根症 (+) は59例で, 著効6例, 有効33例, 神経根症 (-) は41例で, 著効13例, 有効23例. 著効例さらに著効+有効例と不変例との間には有意差が認められた. 効果持続期間は神経根症(+)は4.5±1.9日, 神経根症(-)は6.9±3.1日で, 両者には有意差が認められた. 著効と有効例の75症例では, 痛みの軽減が77%認められ, さらに星状神経節ブロックの併用が81%と多かった. 結論: 腕神経叢ブロック法は, 75%程度に痛みの軽減などのブロック効果が期待でき, 有効期間も長い. 腕神経叢ブロックは星状神経節ブロックに併用することが多く, その効果は単独効果ではなく, 星状神経節ブロックなどの相乗効果である可能性がある. 臨床症状の重症度とブロック効果には関連性があり, 神経根症などの症状の激しい症例には有効ではあるが, 著効はあまり期待できないと思われた.

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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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