日本ペインクリニック学会誌
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交感神経遮断の生体に及ぼす影響
ラットにおける上頸神経節切除の胃粘膜保護作用
玉川 進小川 秀道
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1996 年 3 巻 4 号 p. 409-415

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抄録

目的: 星状神経節ブロックによる胃潰瘍改善効果を動物モデルを用いて解析することを目的とした. 方法: SD系雄性ラットを用いた. ラットを4群に分類した. 切除部位によって右切除群, 左切除群, 両切除群, シャム群である. インドメタシン, アルコール, ストレス負荷により胃潰瘍を作成し, 各群での潰瘍指数を調べた. 次に胃液分泌量および胃液総酸度を測定した. さらにDBH, NPY, GRPを標識抗原として免疫組織化学的に交感神経分布度の変化を検討した. 結果: インドメタシン潰瘍では左切除群が右切除群に対し, また両切除群がシャム群と右切除群に対して有意に小さかった. ストレス負荷では左切除群がシャム群と右切除群に対し, また両切除群がシャム群に対して有意に指数が小さかった. 胃液量, 総酸分泌量の測定では4群間で有意差はみられなかった. 交感神経分布変化の検討では左・両切除群では筋層内の線維はほとんど観察されなかった, 結論: 左もしくは両上頸神経節切除によりインドメタシンとストレスによる潰瘍指数は減少する. 上頸神経節切除による胃潰瘍防止作用は, 交感神経線維の減少による胃壁内微小循環の保持による可能性が示唆された.

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