日本ペインクリニック学会誌
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痛みの強さと性格傾向の関連性についての検討
MPQ, MMPIを用いて
長谷川 守服部 卓石埼 恵二
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キーワード: 痛みの強さ, 性格傾向
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1997 年 4 巻 1 号 p. 5-10

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抄録
これまで Minnesota Multiphasic Personality Inventory (MMPI) を用いた性格特性の痛みへの影響を検討する研究が数多く行なわれてきた. しかし, 精神病理学的な性格特性を知る目的で作成されたMMPIを痛みの強さの評価に用いることのむずかしさが問題とされている. そこで今回は, 慢性疼痛患者150人を対象に性格傾向がどれくらい痛みの強さに影響をもたらすかを検討した. 治療や診療期間などの影響を最小限にするため, 初診患者のみを選択した. 患者の疼痛持続期間は6カ月以上で, 疼痛部位は腰部, 頸部, 顔・頭, 肩, その他と慢性疼痛のみられる部位全般を含んでいた. 治療前に interview 形式により McGill Pain Questionnaire (MPQ) 日本語版とその他の疼痛計測尺度 (Visual Analogue Scale: VAS, Verbal Rating Scale: VRS, Numerical Rating Scale: NRS) を施行し痛みの強さを評価した. さらに, MMPIを患者に手渡し施行した. 分析の結果, MMPIの各尺度の示す性格傾向は痛みの強さそのものの予測には役立たないことがわかった. しかし, MPQを用いて痛みの強さを質的側面から検討すると, 性格傾向との関連性が示され注目された.
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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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