日本ペインクリニック学会誌
Online ISSN : 1884-1791
Print ISSN : 1340-4903
ISSN-L : 1340-4903
モルヒネ徐放錠長期投与例におけるモルヒネおよびモルヒネ代謝物血中濃度の推移
太田 孝一近藤 敦樽見 葉子前野 宏久原 幸大和田 栄治石谷 邦彦並木 昭義
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 5 巻 2 号 p. 119-124

詳細
抄録
モルヒネ徐放錠の経口長期投与におけるモルヒネ血中濃度の推移について検討した. 症例は75歳, 女性で, 肺癌にて疼痛管理のため, モルヒネ徐放錠120mgを12時間間隔で投与していた. 症状が定常状態で安定した約7カ月間を対象として, 1週間間隔で朝のモルヒネ内服直前に採血し, 血中モルヒネ (M), モルヒネ3グルクロン酸 (M3G), モルヒネ6グルクロン酸 (M6G) 濃度を30回測定した. 血中M濃度は, 12~45ng/mlの範囲で変動し, 投与期間が長くなるにつれて低下する傾向がみられた. MとM3G, MとM6Gには, 有意な正の相関関係があった. 今回の結果より, モルヒネ徐放錠を長期内服中で, 鎮痛状態や全身状態に著変がない定常状態であっても, 血中モルヒネ濃度はかなり変動し, モルヒネ代謝物も, モルヒネと同様の変動をすることが明らかとなった.
著者関連情報
© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
前の記事 次の記事
feedback
Top