日本ペインクリニック学会誌
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大動脈炎症候群による慢性疼痛および平衡障害に対してプロスタグランディンE1静脈投与と少量ステロイド経口投与が有効であった1症例
水野 樹中山 泰典土肥 俊之
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1999 年 6 巻 4 号 p. 377-380

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抄録

今回われわれは大動脈炎症候群による慢性疼痛および平衡障害に対してプロスタグランディンE1 (PGE1) 静脈投与と少量のステロイド経口投与が有効であった1症例を経験したので報告する. 症例は65歳, 女性. 約2年間, 後頭部, 項部, 左肩の疼痛および平衡障害が持続していた. 頸部MRAにて左椎骨動脈の狭窄を, また脳血流シンチグラフィーにて小脳および左後頭葉の血流不全を認めた. 消炎鎮痛薬, 抗凝固薬, 血小板凝集抑制薬, 脳循環代謝改善薬などの投与に対して無効であったが, PGE1静脈投与および少量のステロイド経口投与の併用により症状は劇的に改善し消失した. PGE1の血流増加作用とステロイドの抗炎症作用が本症の虚血, 血行障害の改善に寄与したことが示唆された.

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