日本ペインクリニック学会誌
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0.5%等比重ブピバカインにより脊椎麻酔後の一過性の神経症状を生じた1症例
鬼頭 幸一多淵 八千代大東 豊彦笹井 三郎
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キーワード: 脊椎麻酔, ブピバカイン
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2001 年 8 巻 4 号 p. 405-407

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抄録
リドカインに比べ, ブピバカインでは脊椎麻酔後の一過性の神経症状 transieut neurologicsymptoms (以下TNS) の発生率は非常に低いとされている, われわれは, 等比重ブピバカインによる脊椎麻酔後にTNSを生じたと思われる症例を経験した. 症例は40歳, 女性. 0.5%等比重ブピバカイン3.6mlによる脊椎麻酔後切石位とし, 円錐切除術が施行された. 麻酔回復後も両下肢のしびれが残り, 術後1, 2日に, 両下肢のL5領域の痛覚脱失, L4,5-S1の異常感覚 (ジンジンした痛み) が確認された. 神経学的所見, 神経伝達速度およびMRIにより総腓骨神経障害, 腰椎の器質的病変は否定的であった. 7日後には神経症状は消退しており, 典型的なTNSの症例と考えられた. TNSは切石位や足を屈曲する手術で, 高比重液, リドカインを用いた脊椎麻酔において発生率が高いと報告されている. 等比重0.5%ブピバカインによる脊椎麻酔後のTNSの報告はまれである. 本症例では, 切石位での等比重0.5%ブピバカインによる脊椎麻酔におけるTNSを報告した.
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