抄録
帯状疱疹の痛みに対する神経根ブロックの有効性を左右する因子として痛みの性質に注目し, 神経根ブロックの有効性と痛みの性質の関連性について検討した. 疼痛と日常生活動作制限が強く, 神経根ブロックを施行した急性帯状疱疹痛・帯状疱疹後神経痛の患者40名を対象とし, 治療終了後にアンケート調査を行った. そのうち記述が十分であった25名について, 自発痛の性質により発作痛・電撃痛群 (A群, 平均71歳, n=11) と持続痛・鈍痛群 (B群, 平均64歳, n=14) に分類した. 神経根ブロック前を10としたアンケート時点でのペインスコア (0-3著効, 4-6有効, 7-10無効とした) において著効・有効例の占める割合 (有効率) を比較すると, A群, B群はそれぞれ91%と44%であり, 痛みの性質が発作痛, 電撃痛であるものが持続痛・鈍痛であるものよりも有効性が高いことが示唆された. また, ペインスコアの低下が得られた患者のほとんどに痛みの性質の変化を認めた. 発症からブロックまでの期間が短い方が有効率が高かったが, 今回の検討では知覚低下の程度, 年齢, 皮疹重症度の違いにより有効率に差はみられなかった. 神経根ブロックの有効性を予測するうえで, 発症からの期間以外に痛みの性質は重要な一因子と考えられる.