抄録
目的: 難治性慢性CRPS Type-1 では視床の活動異常が深く関与していると考えられており, 前帯状回, 島の血流増加も報告されている. また電気痙攣療法 (electroconvulsive therapy: 以下ECT) の有効性が報告されている. 今回難治性慢性CRPS Type-1 患者にECTを用いた前後で局所脳血流量を比較した. 方法: ECTを施行した3例の難治性慢性CRPS Type-1 患者を対象として, キセノンCTを用いてECT治療前後に視床, 島, 前帯状回の局所脳血流量を測定した. 結果: 3例で病側の視床血流量は減少しており, 著効した2例ではECT治療後は視床血流量の左右差が少なくなった. 前帯状回, 島の血流量の変化に一定の傾向は認めなかった. 結論: ECTが視床血流量の左右差を改善したことが, 難治性CRPS Type-1の症状の軽快につながった可能性が示唆された.