日本ペインクリニック学会誌
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長期フォローを要した小児 Reflex Sympathetic Dystrophy の1例
都 正彦福崎 誠小林 伊都子
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2002 年 9 巻 1 号 p. 20-23

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抄録

右足関節捻挫後に, 同側下肢の灼熱痛, アロディニア, 腫脹, 冷感, 発汗過多等および運動障害を伴う典型的な反射性交感神経性萎縮症 (Reflex Sympathetic Dystrophy; RSD) の症状を呈した12歳女児の治療を経験した. 右足関節捻挫の診断で, 4ヵ月間整形外科的治療を受けており, 当科入院後は, 交感神経ブロック (持続硬膜外ブロック, 局所静脈内交感神経ブロック) を行い, 内服薬 (カルバマゼピン, 塩酸イミプラミン, ノイロトロピン®, 塩酸メキシレチン, デキストロメトルファン, ビタミンD薬) と, 早期よりのリハビリを開始したが著明な効果は得られなかった. 退院後は, 週3回の荷重訓練によるリハビリの継続とともに, 精神療法すなわち, 毎日の通学による, 体育以外の日常学校生活習慣の指導を行った. 家庭および学校の協力もあり, 治療開始2年後には内服薬も中止でき, 体育の授業も可能となった. 運動障害を伴う小児RSDでは早期より交感神経ブロック療法後, 症状に合わせたリハビリを行うことはもちろんのこと, 難治性の場合には, 入院治療にこだわらず, 理学療法の継続とともに日常学校生活の指導施行といった精神療法を主体とした治療に変更すべきであろう.

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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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