日本ペインクリニック学会誌
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SGBの効果: 何が良いか, Evidence をさがそう突発性難聴の病態とその治療法としてのSGB
大谷 美代子松本 延幸初雁 育介松本 勲
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2002 年 9 巻 4 号 p. 362-368

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抄録

最近2年間に, 埼玉医科大学附属病院神経耳科で突発性難聴と診断され, 当科に星状神経節ブロック (SGB) を依頼された患者は133名で, このうち124名に1%リドカイン7mlを用いて週6回SGBを施行し, その効果を検討した. 初診時平均聴力レベルは71.3dB, 治療後は45.9dB, 発症からSGB開始までは平均10日, SGBの回数は平均13回であった. 治療効果の判定は厚生省特定疾患班研究の基準に基づき, 治癒=3点, 著明回復=2点, 回復=1点, 不変=0点として統計計算を行い, 回復度を上昇させる因子に関して検討した. この結果, (1)50歳未満の男性, (2)高血圧, 糖尿病, 高脂血症などの末梢循環障害に関連する合併症を有する患者, (3)発症早期にSGBを含む治療を開始した患者では良好な結果を得た. また予後不良とされてきた眩暈随伴例や高音消失型が, 著明回復・治癒群でも不変群同様の割合で含まれていた点から, このような難治症例がSGBにより回復した可能性も考えられた. 以上より, SGBは熟練した麻酔科医が慎重に施行する限り重篤な合併症は少なく, 積極的に試みるべき治療法であると思われる.

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