精密機械
Print ISSN : 0374-3543
工作機械主軸のテーパ接合部の剛性
Juan M. PORRAS MARTINEZ斉藤 義夫伊東 誼
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1980 年 46 巻 2 号 p. 242-248

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抄録

以上, 最近研究の必要性が大きな話題となっている工作機械のテーパ接合部の曲げ静剛性について実験的に検討した結果, 次のようなことが明らかとなった.
(1) 通常工作機械結合部の変位は非線形特性であるのに対して, テーパ接合部の変位は線形特性を示す.これはテーパ接合部が閉鎖形の結合部構成方法となっているためである.
(2) 閉鎖形という構造構成上の特徴により, テーパ接合部の存在による剛性低下は小さく, 最大でも10%程度である.これは, ボルト結合部やすべり案内面のような開放形の工作機械結合部に対する閉鎖形の大きな特徴と考えられる.
(3) 開放形でその剛性に大きな影響を及ぼす接触面圧, 接触面積, 作用曲げ荷重等の結合部因子はテーパ接合部の剛性にほとんど影響しない.
(4) MT#5とNT#40の特性を比較した結果によれば, テーパ接合では古くから言われているようにテーパ大径部の接触が重要であることが確認できた.
なお, 以上のことよりテーパ接合部のような閉鎖形の結合部が, 工作機械工具-被削材系内に存在してもそれによる剛性低下はわずかであると言える.従って, たとえその部分を一体化しても系全体の剛性の増加はほとんど期待できないと考えられる.

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© 社団法人 精密工学会
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