精密工学会誌
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エンドミルの溝削りにおける切削特性
小林 明発
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1987 年 53 巻 10 号 p. 1555-1561

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抄録

フライス切削のうち,もっとも複雑な切削を営むエンドミルの溝削りの切削特性を解明するため,まず基礎的な段階として1枚刃の直刃エンドミルにより底刃の影響をなくした二次元的な溝削り実験を行い,1切削サイクル中の切削抵抗変化および被削面粗さを精確に測定した.その結果,エンドミルの溝削りに関し以下の切削特性が明らかとなった.
(1)上向き切削と下向き切削の転換点は,刃先の回転方向と工作物の送り方向の関係からは刃先回転角90°であるが,テーブル送り方向分力私は刃先回転角120°程度で作用方向が転換することから,下向き切削領域初期の刃先回転角90°から120°程度までは過渡的上向き切削領域とみなしうる.
(2)1切削サイクル中の主分力と背分力の関係から,エンドミルの溝削りにおいては切削初期と切削終了時にRubbing領域が存在するが,切削初期のRubbing領域ではBurnish効果を生ずるが,切削終了時のRubbing領域ではBurnish効果を生じない.
(3)1切削サイクル中の被削面粗さは,切削サイクル中の切削力の作用状態,すなわち切削初期のBurnish領域,上向き切削領域,過渡的上向き切削領域,下向き切削領域に対応して4段階に変化する.

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