精密工学会誌
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離散ウェーブレット変換を応用した転がり軸受の剥離発生予知
上野 吉史森 和男笠島 永吉吉岡 武雄
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1995 年 61 巻 4 号 p. 521-526

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抄録

機械システムの性能や機能に重大な支障を与える転がり軸受の剥離の発生予知が,離散ウェーブレット変換を導入することにより,今までは困難であった軸受の振動信号の観測から行えることを示した.得られた主な結果は以下のとおりである.
(1)剥離が発生する直前の転がり軸受の振動信号には,インパルス的な非定常振動が含まれる.離散ウェーブレット変換を用いると,この非定常振動を感度良く検出することが可能である.
(2)非定常振動に関するウェーブレット係数値は,剥離発生に近づくに従って大きくなる.さらに,この係数値の平均値推移を求めることにより剥離の発生を予知することが可能である.
本報告で用いた離散ウェーブレヅト変換は,高速変換が可能で複雑な処理装置を必要としない.したがって,本論文の手法を容易にインプロセス異常診断システムへ展開できるものと考える.

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