抄録
数値誤差に対して頑強な立体集合演算アルゴリズムの構築を目的として, 多面体間の集合演算における, 出力立体の位相構造作成処理を記号処理によって行う方法を提案した.
この方法の特徴は次のようにまとめられる.
(1) 頂点・交点, 稜線・交線の諸要素のもつ位相的な接続性に基づいて出力立体の位相構造を作成するので, 2立体の位置関係を数値的に場合分けし, 各特殊ケースごとの処理を実装する必要がない.
(2) 集合演算の処理中に検出された頂点一致・稜線交差や稜線一致・面一致の退化状態を出力立体の面に関する拘束条件として保持しているので, 集合演算を繰り返して実行したときに, 数値誤差の累積によってデータの整合性を失うことがない.
(3) 非多様体形状の多面体に対しても, 例外的な処理を行うことなく, 統一的に扱うことができる.
今後の課題は, アルゴリズムの効率化と, さらなるテストケースによる頑強性の評価である.