精密工学会誌
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光ファイバの端面研磨と加工変質層
加工変質層と反射減衰量の関係
松井 伸介大平 文和小藪 国夫松永 和夫
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1998 年 64 巻 10 号 p. 1467-1471

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抄録

光通信部品の加工端面の高品質化を目的として, 重要である端面の反射減衰量と加工ダメージの関係を究明した.その結果,
(1) 加工変質層の屈折率と厚さが, 反射減衰量の主要因であることを示し, 加工変質層をエリプソメータにより評価することにより反射減衰量の予測が可能であることがわかった.
(2) 1μm以下のダイヤモンド砥粒で加工し, 微分干渉顕微鏡では, スクラッチのない光学的鏡面を示す端面でも, AFMでミクロに観察すると多数のスクラッチが観察された.まもた, その量と大きさはダイヤモンド砥粒径に依存することがわかった.
(3) ダイヤモンド砥粒による加工では, 高屈折率層が表面下に形成されるが, その厚さは粒径が小さくなるに従い薄くなることを確認した.これは反射減衰量が大きくなることと対応している.またこの屈折率は, 加工による残留ひずみによる密度上昇から説明できることが明らかになった.
(4)ダイヤモンド砥粒のように高い屈折率を持つのダメージ層を形成する場合でも, 砥粒径を小さくし層を薄くすることによって50dB程度の高反射減衰量を得ることができることがわかった.

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