2022 年 21 巻 1 号 p. 11-20
本研究の目的は,担任に対する信頼感が,学級雰囲気を媒介して生徒の学校適応感に及ぼす影響について検討することであった。中学生2,440名を調査協力者に質問紙調査を実施し,2,381名のデータを対象にマルチレベル媒介分析を行った。その結果,個人レベルと学級レベルで,担任に対する信頼感は,直接的に生徒の学校適応感に影響を及ぼしていることが明らかとなった。さらに,個人レベルと学級レベルで,担任に対する信頼感は,学級雰囲気を媒介し,生徒の学校適応感に影響していることも示された。このことから,担任が受容的なはたらきかけを行うなど,生徒が担任を信頼できる接し方や態度をとることで,生徒の学校適応感が高められることや,たとえ担任に対する信頼感が直接的に学校適応感を高めなかったとしても,学級雰囲気を媒介して生徒の学校適応感を高めることが示唆された。