2026 年 25 巻 2 号 p. 231-247
本研究では,個別最適な学びと協働的な学びの観点からSOSの出し方・受け止め方に関する教育の発展可能性を検討することを目的とした。まず,小学校高学年の児童を対象にSOSの出し方・受け止め方を学ぶ心理教育プログラムを実施した。次に,プログラムで学んだ知識やスキルに関して,個別に,または他者と協力しながらさらに自由に学び進めることを想定した場合,小学生にどのような学習ニーズがみられるのかを自由記述にて調査した。有効回答の得られた5年生308名,6年生100名,計408名のデータを用いて計量テキスト分析を行った。その結果,子どもたちは複雑な現実場面を想定した上で,自らに必要となる多様な内容や方法に基づく学習ニーズを有することが示された。SOSの出し方・受け止め方に関する教育においても,学習の内容や方法の選択肢を広げ,学びの主導権を子どもたちに委ねることで,多彩な学びの発展につながる可能性が示唆された。以上を踏まえ,個別最適な学びと協働的な学びを取り入れたSOSの出し方・受け止め方に関する教育実践の可能性や想定される課題,教育者に求められる役割や働き,今後の実践・研究の発展課題について考察した。