抄録
慢性肝不全患者は、蛋白質・エネルギー低栄養状態 (PEM) にある。RQが低下した症例にはエネルギー投与を、血清アルブミン値が低値を示す症例には経口BCAA補充投与が有効である。夜間から早朝の飢餓状態を回避する目的で就寝前エネルギー投与 (LES) が推奨される。また、慢性肝不全患者には高率に耐糖能異常が合併している。予備能の低下した患者では低栄養状態も顕在化しており、食事でのエネルギー制限は一層の低栄養を助長する。間接カロリーメーターを用いて安静時エネルギー消費量を測定することによって適切なエネルギー量を投与しつつ糖尿病に対する薬物療法を併用することで低栄養状態を進行させることなく血糖のコントロールを行う必要がある。