静脈経腸栄養
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特集:NST活動の標準化とその評価
褥瘡治療・予防におけるNST活動とその効果
大村 健二
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2006 年 21 巻 2 号 p. 2_33-2_38

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抄録

褥瘡は外傷の既往を有さずに発生する難治性の皮膚潰瘍である。このような創の速やかな治癒には、誘因となった病態の改善が必須といえる。褥瘡の場合、その多くが低栄養を誘因とする。褥瘡発生のハイリスク症例を拾い上げる種々の方法にも、栄養関連の因子が含まれている。2002年10月より褥瘡対策未実施減算が実施されたことを契機に、Stage III以上の院内発生褥瘡は明らかに減少している。しかし、全褥瘡の院内発生率に変化はみられていない。この事実から、ハイリスク症例を拾い上げても局所の処置のみではStage II の褥瘡発生率を低下させることができないと考えられる。一方、NSTによる組織立った栄養管理は、低栄養に加えて他にも重篤な病態を伴った褥瘡に速やかな治癒をもたらしている。加えて院内発生のStage IIの褥瘡を減少させるためには、各医療機関の状況に即したハイリスク症例の拾い上げとNSTが早期に介入を開始できるシステムの構築が必要である。

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© 2006 日本静脈経腸栄養学会
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