抄録
がん悪液症候群に伴う食欲不振・倦怠感緩和は、終末期がん患者に出現する頻度が非常に高く、その症状マネジメントは緩和ケアにおける重要な課題とみなされている。コルチコステロイドはこのような症状の緩和に対して、広く使用されている。これまでの報告においては、信頼性、妥当性が証明された倦怠感の評価ツールを利用した検討はほとんどなく、多くのものがQOLの評価ツールの一部や他の身体症状を評価している。また、観察期間は比較的短いものが多く、患者の全身状態や生命予後を考慮したうえでの評価も乏しく、副作用に関する検討も少ない。今後の課題としては、信頼性、妥当性の証明された評価ツールを使用したコルチコステロイドの評価が必要であろう。また、生命予後や全身状態を考慮した効果判定、副作用の経時的な評価も重要な検討課題になるであろう。そして、その上での臨床的に利用可能なコルチコステロイドの投与指針(ガイドライン)を作成し、それを再度、注意深く評価していく必要があると考えられる。