抄録
激増する進行再発がん治療については、外科的治療には限界があり、化学療法や放射線照射が適応されることが多い。われわれは切除後広範再発や当初より切除不能のいわゆる『晩期がん』症例に対し過去10年余、栄養・代謝改善の観点から食材の改変による食事療法を指導してきたが、今回その中で主として化学療法や放射線照射例を中心に、副作用軽減や個体免疫能向上を目的とした手法を判定した。晩期がんでは病巣や局所に留まる例は少なく、全身病としてのがん疾患に対する取り組みが肝要である。投与薬剤量や照射放射線量の検討、リンパ球減少で表現される免疫能低下への賦活食材の選択あるいはミネラルや投与総カロリーをも勘案し、病態改善への糸口を模索中である。
経験した晩期がん110例での生存率は69.1%、奏効率は64.5%であり、従来の治療法に比較し格段の向上をみている。今後、栄養・代謝に立脚した治療法の導入ががん治療成績に大いに好転されるものと期待している。