抄録
高血糖は傷害やストレスなどの侵襲への生体反応であるが、術後感染、心筋虚血、中枢神経障害において、高血糖は予後不良因子であることが報告されている。周術期・重症患者において、従来、血糖管理は血糖値の上限を200mg/dL前後として行なわれてきたが、侵襲時のインスリン抵抗性などによる耐糖能異常で、血糖管理には難渋することが多い。心臓血管外科患者においては、血糖上限値を110mg/dLとする強化インスリン療法が臨床的に有用であることが示されていた。外傷、脳損傷、敗血症などの他の対象疾患では血糖管理の目標値が異なることが考えられ、強化インスリン療法の一律の施行については疑問視されている。重症患者における血糖管理の重要性が薄れたわけでなく、栄養投与量、栄養投与経路、栄養基質についてのさらなる今後の検討が必要である。