静脈経腸栄養
Online ISSN : 1881-3623
Print ISSN : 1344-4980
ISSN-L : 1344-4980
特集:栄養サポートチーム加算新設で求められるNST活動の変革
栄養サポートチーム加算新設によるNST活動の光と影
井上 善文
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 25 巻 6 号 p. 1199-1205

詳細
抄録

栄養サポートチーム加算算定施設は、計算上、JSPENのNST稼働施設の28.5%、全国の病院の5.2%程度のようである。Personal communicationとして集めた情報では、NST活動を積極的に推進している施設60施設中、28.3%が加算を算定し、20%が算定を予定している。しかし51.7%の施設では加算算定の予定はなく、その理由の大部分は専従・専任者の人材が確保できない、これらの人材の給与をまかなうだけの報酬がえられない、であった。算定している施設においても、現実的に採算が成り立っている施設はなく、専従者の給与をまかなえる程度がほとんどであった。専任者の給与を計算に入れた場合には、採算が成り立つような活動が不可能な制度であることは明らかであるが、NST活動に対する副次的効果を考慮してNST加算を算定している施設がほとんどであった。算定している施設においても、専従者の負担は非常に大きく、書類記入の量や煩雑さ、患者への説明内容に十分に配慮する必要があることなど、解決すべき問題は多かった。また、7対1、10対1入院基本料届出施設が対象になっているため、この条件を満たさない施設で積極的に活動しているNSTでは、活動自体のモチベーションの維持に苦労していることも明らかとなった。.

著者関連情報
© 2010 日本静脈経腸栄養学会
前の記事 次の記事
feedback
Top