抄録
【目的】当院では入院時簡易栄養スクリーニング (Nutritional Simple Screening on Admission; 以下、NSSAと略) として、(1)標準体重比80%以下(2)褥瘡(3)経腸栄養も含めて食事摂取に問題(4)外見上栄養不良の4項目のうち1項目該当すれば栄養不良のリスクありとして栄養サポートチーム (Nutrition Support Team; 以下、NSTと略) が介入している。今回、NSSAの精度を主観的包括的栄養評価 (Subjective Global Assessment; 以下、SGAと略) と比較した。【方法】内科系病棟において2カ月の全入院患者245例にNSSAとSGAをそれぞれ独立して行い、身体計測・血液検査も含めてNSSAが適切に栄養不良患者を抽出しているか検討した。【結果】NSSAによるNST介入要61例は、NST介入不要184例に比較して有意にSGAによる栄養不良の重症度が高く、%三頭筋皮下脂肪厚、%上腕筋囲および血清アルブミン値は介入要群で有意に低値であった。NSSAは、SGAで判定した栄養不良症例に対して、感度87.2%、特異度86.5%と良好であった。【結語】NSSAは適切に栄養不良患者を抽出しており、簡便さの点から臨床的に有用であると思われた。