静脈経腸栄養
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腎症と脂質代謝異常~糖脂肪毒性の役割~
桒原 孝成森 潔向山 政志
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2013 年 28 巻 4 号 p. 933-938

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抄録

腎と脂質代謝の関係は注目されることが少ない領域であった。しかしながらこの四半世紀の間に特徴的な腎病変を示すリポ蛋白糸球体症の病態が解明され、心血管合併症のリスクとしての慢性腎臓病 (chronic kidney disease; CKD) における脂質代謝異常の重要性が明らかになるにつれ、その役割が見直されつつある。CKD患者では種々の要因でnon-HDLコレステロールが増加、これが動脈硬化促進的に働くと同時に腎症を進展させるという悪循環を形成する。また血糖、血圧、脂質代謝はメタボリック症候群で相互に連関する主要因子であるが、糖脂肪毒性が腎病変形成においても認められ、その機序としてマクロファージのMRP8/TLR4 シグナル活性化が重要であることを明らかにした。さらに本シグナル経路と高血圧との関連も示唆されている。本機序を理解することは生活習慣病が蔓延する現代のCKD患者診療の一助になると考えられる。

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© 2013 日本静脈経腸栄養学会
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