静脈経腸栄養
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症例報告
栄養介入により褥瘡を改善しえた保存期慢性腎臓病患者の1例
奥本 真史要田 裕子金只 ひとみ近森 正和多田 敦彦
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キーワード: 褥瘡, 保存期CKD, 栄養管理理
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2013 年 28 巻 5 号 p. 1109-1112

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抄録
症例は91歳、男性。保存期慢性腎臓病 (CKD) ステージ5 (血清Cr値4.41mg/dL、eGFR10mL/分/1.73m2) を基礎疾患とし、IV度仙骨部褥瘡 (6.5×7.5cm D5E6s9G4N3P6)・炎症反応高値 (CRP24.6mg/dL) を生じ入院。まず末期CKDの病態改善のため、エネルギー量・蛋白質投与量を控えた栄養管理を開始し、褥瘡に対する局所治療を行った。全身状態・腎不全が安定後、褥瘡に対してエネルギー量・蛋白質投与量を漸増し、治癒促進を図った。褥瘡が縮小・改善後、腎機能悪化が見られたため、入院時の栄養投与量に戻した結果、腎機能は血清Cr値2.96mg/dL、炎症反応もCRP0.39mg/dLまで改善した。また褥瘡も2.8×4cm D3e1s6g1まで改善し特別養護老人ホームへ退院できた。褥瘡を有する慢性CKD患者の栄養管理では、血清尿素窒素や血清Cr値などと褥瘡の状態を考慮しながら、エネルギーや蛋白質の投与量を調整することが、病態改善に重要である。
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© 2013 日本静脈経腸栄養学会
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