抄録
【背景】透析患者は便秘になりやすいが、血液透析患者は腹膜透析患者よりも便秘の頻度が高い。これは、血液透析患者の食物繊維摂取量が腹膜透析患者よりも少ないことが原因の1つである。【目的】水溶性の食物繊維であるグァーガム酵素分解物の摂取が便秘や栄養状態に与える影響について検討を行った。【対象、方法】対象は当院で外来維持透析中の患者33名(平均年齢 71±9歳、性別:男性21例、女性12例、原疾患:糖尿病13例、非糖尿病20例)。グァーガム酵素分解物を6週間、10g/日投与した。排便状態は「日本語版便秘評価尺度LT版」を用い、0点‐16点で評価を行った。また栄養状態は、Geriatric Nutritional Risk Index(GNRI)で評価した。【結果】CAS-LT版スコアは4.5から3. 0に有意に低下(p<0.05)し、便秘の有無及び便の形状についても改善した。GNRIは95.0から95.9と有意に上昇した。【結論】透析患者へのグァーガム酵素分解物投与は便秘を改善させた。また、栄養状態も改善する可能性がある。