抄録
【はじめに】癌患者の骨格筋量の減少を評価する簡便な指標として、日常的に撮影される CT画像の大腰筋面積に着目し、癌の進展に伴う面積値の変化を検討した。
【方法】癌診断時と癌終末期に腹部 CTが撮影された消化器癌患者17例について、腸骨の最頭側レベルの CT横断像上で、画像ビューアーソフトを用い両側の大腰筋の輪郭をトレースすることで面積を計測した。また、同時期に経験した癌再発所見の無い8例を対照群とし比較した。【結果】癌診断時に比し、癌終末期では大腰筋面積の有意な減少を認め(p<0.0001)、診断時の面積値を100%とした百分率の平均は 60.8±13.7%であった。癌再発所見の無い対照群では、面積値の減少はみられなかった。【結論】癌終末期には腹部 CT上で容易に計測可能な大腰筋の計測面積が著しく減少し、癌の進展に伴う骨格筋量の減少、悪液質を評価する簡便な指標となる可能性が示唆された。