日本周産期・新生児医学会雑誌
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症例報告
ホスフェニトインが有効であった新生児発作の1例
橋本 実沙神澤 孝洋山本 啓之加藤 英子家田 訓子
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キーワード: newborn, seizure, anticonvulsants, EEG
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2021 年 57 巻 1 号 p. 124-128

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抄録

 フェノバルビタール(以下PB)及びミダゾラム(以下MDL)に抵抗性の新生児発作の治療について十分なエビデンスは未だ得られていない.新生児発作にホスフェニトイン(以下fos-PHT)が有効であった1例を報告する.症例は,在胎40週5日に胎児機能不全のため吸引分娩にて出生した.Apgar Score1点(1分),4点(5分),5点(10分)で,新生児仮死が疑われNICUに入院した.生後32時間よりamplitude-integrated EEG(以下aEEG)波形は鋸歯状パターンを呈し,脳波波形では律動的に反復する同一波形を認めた.左上肢の間代性けいれんも出現し新生児発作と診断した.PB及びMDL投与で発作は持続し,fos-PHT投与で発作は消失した.低血圧や徐脈などの副作用は認めなかった.両親にfos-PHTが新生児に対し適応外使用である旨を説明し同意を得た.本症例では新生児発作にfos-PHTが有効で,安全に使用することができた.

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© 2021 日本周産期・新生児医学会
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