日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
Print ISSN : 1348-964X
症例報告
妊娠中にTC療法を施行した子宮頸癌合併妊娠の2例
徳重 悠石田 憲太郎中村 彩加東山 希実清川 晶竹川 麻衣野々垣 多加史
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キーワード: 妊娠, 子宮頸癌, TC療法, 難聴
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2021 年 57 巻 1 号 p. 162-166

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抄録

 妊娠中に子宮頸癌が発見される症例は1.6-4.6例/10万妊娠とされる.子宮頸癌合併妊娠の管理では妊娠中に化学療法を施行する場合があるが,施行される大半のレジメンはcisplatinを用いたものであり,carboplatinの情報は不足している.我々は妊娠中に子宮頸癌IB1の診断に至り,TC療法(paclitaxel, carboplatin)を施行しながら妊娠を継続し,妊娠34週で帝王切開術,術後3週間後に根治術を施行し,5年間の無病生存を得た2症例を経験した.プラチナ製剤の副作用に難聴があるが,carboplatinはcisplatinよりもリスクが低いとされる.2症例共に4年間の聴力フォローを行い,難聴を生じなかった.蝸牛の障害が原因と考えられる難聴は,薬剤投与後も進行の可能性があるため,プラチナ製剤の治療を受けて出生した児は中長期的な聴力管理が必要と考える.

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© 2021 日本周産期・新生児医学会
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