日本周産期・新生児医学会雑誌
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症例報告
出生後にFemoral-facial syndrome(FFS)と判明した糖尿病合併妊娠の1例
濱口 史香豊福 彩中村 充宏額田 貴之春日 摩耶日野 麻世山西 恵山西 優紀夫横山 玲子山村 省吾吉田 隆昭
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2021 年 57 巻 1 号 p. 221-225

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抄録

 Femoral-facial syndrome(FFS)は,大腿骨低形成と,眼瞼裂斜上や小顎などの特徴的顔貌を呈する稀な疾患で,母体の糖尿病との関連が指摘されている.今回,著明な大腿骨短縮から骨系統疾患を疑ったが,出生後にFFSと判明した糖尿病合併妊娠の1例を経験した.症例は37歳,1経産.2型糖尿病で治療中であった.妊娠19週より大腿骨の著明な短縮と変形を認めた.母体血清ALPは低値であり,妊娠29週に胎児3D-CTを撮像し,周産期良性型低ホスフォターゼ症または骨形成不全症I型が疑われた.児は在胎35週帝王切開で出生し,低く幅広の鼻,上唇の菲薄化,長い人中,小顎といった特徴的な顔貌と,両側大腿骨の低形成,左腓骨の無形成からFFSと診断された.著明な大腿骨短縮を認める糖尿病合併妊娠ではFFSも疑い,小顎等の顔貌所見の精査を行うことが重要である.

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© 2021 日本周産期・新生児医学会
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