2021 年 57 巻 1 号 p. 37-42
当院に通院する妊婦のうち,喫煙する妊婦56名を対象に喫煙習慣に対する質問表調査を実施した.妊娠前と妊娠中の1日喫煙本数は17.4本と6.9本であり,9割は妊娠後に喫煙本数を減らした.喫煙しているタバコの平均含有タール量は7.7mgであり,多くの妊婦は低タールタバコを吸っていた.家庭内での喫煙場所は,約9割が同室内や換気扇下であった.妊娠中の飲酒率は約16%で,朝食を毎日食べる者は半数以下であった.喫煙妊婦の喫煙ステージは準備期が多かった.約9割に周産期的異常を認めた.タバコをやめられない理由で最多のものは「気分転換のため」であった.喫煙の害についての有知識率は,「流早産」や「FGR」などは高かったが,「ADHD」,「肥満・糖尿病」や「ED」などの有知識率は低かった.喫煙妊婦の有知識率は前喫煙妊婦および非喫煙妊婦に比べ有意に低かった(p < 0.05).喫煙妊婦は妊娠中の喫煙の害についての有知識率が低いため,喫煙妊婦に対する禁煙啓発教育の重要性が示唆された.